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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、家庭用ゲーム機の売り上げが急増している。外出自粛を機に、自宅でゲームを楽しむ人が増えているが、生産の遅れで需要に応えきれないなどの問題も生じている。
ゲーム情報誌「ファミ通」によると、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の3月の国内売り上げ台数は83・6万台だった。2月に比べた売り上げ台数は2・8倍に跳ね上がっている。家電量販店では品薄状態が続いている。
ソニーの「プレイステーション4」も、3月の国内売り上げ台数は2月の2・4倍だった。すでに発売から6年が経過し、今年末に新機種の発売を控える中で異例の急増となった。
パソコン(PC)やスマートフォンでもゲーム人気が高まっている。レノボ・ジャパンによると、ゲーム用PCの3月の販売台数は、前年同月に比べ3倍に伸びた。
世界的な感染拡大を受け、ゲームの役割が一時的に見直されていることも、業界に「追い風」となっている。世界保健機関(WHO)は「ゲームのやり過ぎは依存症を招く」と警鐘を鳴らしてきたが、3月には一転、若者らの外出自粛に有効とみて、セガなど各国のゲーム会社と組んでゲームを推奨するキャンペーンに乗り出した。
ただ、業界は、感染拡大によりサプライチェーン(供給網)の寸断という問題にも直面している。任天堂は今月、スイッチの国内出荷を1週間ほど停止した。スイッチは中国やベトナムで生産している。エース経済研究所の安田秀樹氏は「航空便が減り、海外から日本への物流が混乱しているのも品薄の一因で、需要の増大に応えきれていない」と指摘する。インターネットオークションなどでは、中古品が新品の定価を大きく上回る価格で取引されている事例も見られる。
イベントの開催自粛も足かせとなっている。毎年6月に米国で開く世界最大級のゲーム見本市「E3」は中止が決まった。ゲーム業界が盛り上げてきた「eスポーツ」の大会も、中止や延期に追い込まれており、広告収入や興行収入に響くのは必至だ。
新作ソフトの発売延期も相次いでいる。安田氏は「外出自粛が長期化すれば開発が遅れ、人気作品の発売延期につながりかねない」と懸念している。