いまのゲーム業界って、個人的には“トリプルAが最高”という風潮があると思っていたのですが、そうではないということに気付かされたというか。
たしかに、売れても倒産したら意味ないですものね。
稲葉 4、500万本売れて「失敗だ!」って言われたら、正直なところ狂気の沙汰だと思いますよ。
神谷 まあ、向こう(海外)もユーザーがトリプルAタイトルに疲れているところがない?
稲葉 それは、あるんじゃないかな。
神谷 トリプルAは確かにすごいのですが、フォトリアルを突き詰めていったところの先にある絵って、だいたい全部いっしょじゃないですか。
よほどの“カラー”を持ってこないと。その点で、これは僕が関わってないから自慢ではないと思うので言いますが、『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』が海外で受けたのは、そういうところなのかなと思います。
あれはトリプルAというカテゴリーではないと思いますが、日本のヨコオタロウさんが作ったカラーというか、ケレン味みたいなものが色濃く出ていて、そういう尖った部分に評価が集まったのかなと思いました。
稲葉 開発スタッフのリーダークラスの面々と話しているときに「そもそもトリプルAとは何だろう?」みたいな話になったことがあって、それに対して僕は、「数の暴力」って答えたんですよ。
トリプルAは数の暴力なので、ビジュアルに関しても数の暴力、ゲームボリュームに関しても数の暴力と、とにかく暴力満載なんです。
それは、そればかりで押し寄せられたらユーザーも疲れます。ただ、数の暴力なのでエスカレートするのがやめられないし、借金してでもタイトルを作ってスタジオが潰れるという。
誰が得するのかな……というのは、ずっと前からありますけどね。
――大作を1年に1本ずつリリースして、それでよしとする時代は、そろそろ終わりかけているという話ですかね。
神谷 もちろん、トリプルAタイトルを安定的に求めているユーザーは確実に存在すると思うので、世に出ることには意味があると思うんですけど、それだけだとユーザーは疲れるだろうなと。
稲葉 ときに、確信犯的に採算が取れなくてもいいということで暴力的に展開しているタイトルがあって、正直それは業界のためにはならないと思います。
https://s.famitsu.com/news/201807/09160564.html